2024/11/23 20:09

急に寒くなって来たので

季節の靴の入れ替えをしました

左のボルドー色の春秋用から

右のブラック冬用に入れ替えです

夏場と雨の日以外はほぼほぼこの2足で過ごしています

冬用は保温中敷きを敷くのと分厚い靴下を履くため

あえて半サイズ大きいのを選んでいます

年数は忘れましたがどちらも長年履いている愛着のある靴です

このタイプの靴はチロリアンシューズと言います

ヨーロッパアルプスのチロル地方という山岳地域の発祥と言われます

ひと言でいうと

登山靴の普段履き版のようなものです

管理人も登山をしていたのでこう言った無骨なものが好きなんですよ

難点は結構あります

革が固いので履き慣れるまで相当時間が掛かります

ソールがあまり曲がらないので軽快に歩けません

そして何より クソ重い!

計ってみると片足760グラムあります

よそのお宅や靴を脱ぐ必要のある場面で脱いだ靴を揃えて下さる時

決まって 重っ!と驚かれます

でも何故かそのひと言に快感を覚えてしまう変態的な自分がいるんですよね~

これを履いて片道3キロの職場まで歩いて通勤しとります

当然 スニーカーのようにひょいひょい歩けるはずもありませんし

小走りしようものならこけそうになります

でも それがいいんです

一歩一歩大地を踏みしめるような感覚が

なんともいいんです。。。


メリットはデメリットの裏返しですな

履き慣れてからの安定感は捨て難いものがあります

やはり悪路には強いです

登山靴永遠の定番ビブラムソールを使用しています

ごつごつ石が転がっているような地道とかは

石を踏んでも底からの突き上げがないです

この安心感そして信頼感...

まあ一般道でそんな道はほぼないですけどね(^-^;

もうひとつ

これは副産物的なメリットかも知れませんが

足腰を鍛えられる!

実際に登山をする人は普段生活でチロリアンを履くことが多いんですよ

それはやはり

普段でも登山靴で歩く感覚を忘れないためだそうです


特にボルドー色の一足は超お気に入りというか

つくりも革の質もかなりこだわったものです

安藤製靴というところの製品なんですけど

悲しいかな今年の6月で廃業されたみたいです

老舗でコアなファンも多かったのですが

職人さんが高齢で作れなくなったそうです

ま 誰にでもつくれるシロモノではないですしね

どの業種でも後継者問題が深刻ですな

実に残念なことです

出来れば色違いをもう一足欲しかったんですけど(-"-)


登山靴に限らずですが

モノの良し悪しの一つの目安はソール部分の縫い方

これはノルウェージャンウェルト製法と言われる縫い方です

頑丈さとしなやかさを両立させた手の込んだ製法です

国産チロリアンでは安藤製靴しかこれを採用してません



ちなみにブラックの方は奈良県の中森商店という登山靴職人さんのOEM製品です

ま 標準的なグレードとでも言いますか

製法や革の質は特にこだわったものではありません

こちらはシンプルなステッチダウン製法です

ただしダブルステッチで縫っているので頑丈さは文句なしです

この両者の値段ですが倍ぐらい違います

もちろん安藤製靴の方が高いですが

まあモノを見れば納得です


ま でも

どちらも愛着のある兄弟であることには違いありません

数年早かったブラック兄貴の踵入れ部分がついに破れてきました

買い替え時かな?と一瞬思いましたが

それ以外はまったくヘタリのない堅牢さ

兄貴はとにかく無骨で頑丈なのが魅力

もったいないというより別れられないです

でも修理を依頼するとなると最低でも5,6千円ぐらい取られるかな。。。

ののに革の端材がないかと尋ねたところ

ちょうどぴったりの革がありました

自宅にあったボンドG17で接着!

うむ

我ながらうまくできた~♪


安藤製靴の悲報?を知り

あらためて手づくり人のこだわりがわかる気がしました

そして同じ手づくりに関わる一員として

ちょっぴり切なさをも感じてしまいます

でも ヘンに製法や革の質を落として値を下げるより

実に潔い身の引き方です

商売人として生き延びるより職人として死ぬ…

カッコいいですな

こだわりがあればあるほど滅びる時はいきなり突然やって来るものです

つまりはそのこだわりを受け継ぐ者がいなくなった時

でも 憧れというものは滅びた後でもずっとずっと続くものです

つくり手にとっても 買う人にとっても

だからと言って大切に扱うのも違うんですよね

靴は履き倒してなんぼ

バッグはもの入れてなんぼ...です

騙し騙しに補修しながらでもガンガン履きまっせ~

それがつくり手に対する礼儀ってもんです



管理人のひとり言