2024/04/18 20:24


栃木レザーの文庫本カバーをアマゾンでポチっと購入しました

少々お高いですがクオリティーは最高です

思っていたより薄手の革ですが

文庫本に付けるにはちょうどバランスの取れた厚さです

ゴツゴツ感はまったくなく手触りがソフトでバツグンに気持ち良いです

付属のしおりにもむっちゃこだわりを感じます

本を読むためにカバーを買ったつもりが

このカバーに触れたいがために本を読む状態に陥っております

使い込んでエイジングが出てくるのを楽しみにして

毎日欠かさず触れています




今読んでいる本は仏教関係のものなんですけど

「龍樹」(りゅうじゅ)というものです

西暦200年前後に実在した人物で原語読みではナーガールジュナと言います

ブッダ以来の大天才と言われたので小釈迦とも言われています

彼は大乗仏教思想の空(くう)の理論を確立した人です

大乗仏教とはブッダ没後500年ぐらいに成立したもので

出家者だけに限らずあらゆる一般大衆の救済を目指した思想です

現在日本にある仏教の各宗派はぜんぶ大乗仏教のカテゴリーになります

その意味でもこの龍樹は八宗の祖と崇められ

仏教史に燦然と名を残すスーパースターなのです

こう書くと龍樹って人はものすごい人だと思いますよね

実際彼はバラモン階級という最高位の身分の生まれであって

少年の頃から頭脳明晰で稀代の天才と言われていました

ええとこのボンボンでしかも出来すぎクンですね

もちろん管理人もその名はずっと前から知ってました

ですが今までスルーしていたのも理由がありましてね

この龍樹は確かに大天才ではありますが

クソ人間のイメージがずっとあったのですよね

この本にも記されていますが龍樹の伝記による人物像はこんな感じです

彼は年少の頃よりあらゆる論書を速やかに理解して

大人をもいともたやすく論破するほどの神童でした

成長した彼は同じく秀才グループの3人と話し合うのでした

オレら世の中のことはすべて完璧に理解したから

もはやオレらが目指すところのものはなくなってしまったよな

なのでこれからは欲望のなすがままに生きて人生を謳歌しようじゃないか

龍樹を含めた4人は山奥に住む仙人のもとを訪ね隠れ身の術なるものを修得します

で 何をするかと言うとですね

姿が見えない状態で毎日王宮に忍び込み

酒や料理を食らいまくり宮女100人を犯しまくったというクズっぷり

得体の知れない不思議な出来事にある家臣が作戦を考えます

王宮内一面に砂を撒いて足跡が出来たところに刀を振り下ろすってものです

そうして仲間3人はズバズバ切り殺されていきますが

龍樹だけは王様のすぐそばを離れませんでした

王様の半径2メートルは誰も近づいてはならないという決まりを龍樹は知っていたのです

ここでもあざとく知恵が回るんですわ

でも王様のそばにいながら仲間3人が切り殺されている様を見て思うのでした

ああ どんなに好き放題に生きていても死ぬ時は実にあっけのないものだ

ここに来て人生の儚さというものを悟ったと言います

さらに龍樹はこう決心したのです

もしこの窮地から生き延びて帰れたならば

私は生涯をかけて仏の教えに尽力しよう…

とまあこんな感じですが

動機がゲス過ぎますな。。。

で もうひとつ面白いのは晩年の龍樹です

彼はことごとく異なった思想を論破するわけなので論敵も多いのです

ある時 対立する教義論者が彼のもとに訪れるのですが

龍樹はいきなりこう言うのです

あなたは私がいなくなればよいと思っていますか?

論者が突拍子もない質問に返事が出来ないでいると

龍樹は黙ってそのまま別の部屋に籠ってしまったのです

で 時が過ぎても一向に出て来ないので弟子が部屋を覗くと

龍樹はそのまま死んでいたと言います

何ともオモローすぎる人物ですな

ここでひとつ断っておきますが

実在した龍樹については資料も少なく謎が多いそうです

なのでこういったファンタジーっぽい伝記も

後世の人が書いた物語という説が有力です

でもまあふつう偉人の生涯を悪いイメージで伝えないですわな

かなり変人であっても良いふうに盛るのがふつうだと思います

でもこの本を読んでいるうちにその謎が解けた気がしました

これはブッダの教えの崇高さを前面に表しているのではないかと思うんです

伝記のような大天才であっても人間的にクズなら

きっとブッダの教えでさえもケチつけそうな気がします

かつてオウムの麻原が自らブッダを超えたと豪語してたようにです

実際の龍樹は生涯かけてブッダの教えの真髄をとことん研究したわけです

それが彼の真の姿だと思いました

姿隠して女犯したなんて釣りですわ

あえて龍樹をディスっといてブッダを持ち上げてるんです

これが本人の意図なのか後世の創作者の意図なのかはまったく不明ですが

その根拠はですね

この龍樹って人は仏教思想家であって

そもそもブッダのような求道者ではないのです

おそらく仏道修行的なことはしていないでしょう

その時点でブッダの延長線上には身を置けないことを彼自身がわかっていたのでしょう

思想ってものの是非は時代によって変化しますからね

龍樹自身が説いた空の思想がそうであるように

真理と言うものはオツムだけで到底理解出来るものではないのでしょう

そういう意味ではやっぱりブッダは別格

脈々と続いた仏教史をひも解けばひも解くほど

そのパイオニアに帰着し感銘を受けざるを得ません

そういうことをきっと龍樹もわかっていたのです

いずれにしても彼が記した論書は疑うことなく本物ですし

彼は間違いなく偉大な仏教者です

中身が確たる真実であれば

後々背びれ尾びれがついたとしてもぜんぜん許せるし

またなんと言ってもオモシロイものになりますわな




黄砂で霞む仏教の母山を見て思いました

遠い遠い昔 色んな人が頑張ったんやなぁ~

唯一無二の崇高なる原点を求めて・・・

うむ 

ワシも生涯

仏教の本しか読まん!



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