2021/01/17 21:26
またまたしばらくのあいだ 手づくり市は休止になりそうです 残念ですけど仕方ないですね 寒いのカナンカナン管理人にとってはある意味ラッキーですけど…^^; 休日は巣ごもりでネット映画鑑賞に没頭するか! と 先日次男が言っておった映画を思い出しましてね 部屋にあったブルーレイディスクを拝借 でもまあ 次男も映画好きではあるんですけど ビンボー学生の身で高価なブルーレイを買うほどのもんってどうよ… 疑問と期待の入り混じった心境で鑑賞した次第です 「スリー・ビルボード」って作品です 2,3年前にちょろっとテレビで紹介されてた記憶がありますが あまり日本では話題になっていないような気がします 内容がすごくアメリカンなのでね… その年のアカデミー賞を大いに沸かせたらしいです 感想をひと言でいうと すごくよく出来た映画です それ以外の表現がちょっと思い浮かばないですな 特に面白いわけでもなく 超絶アクションがあるわけでもなく 泣くほど感動することもなく 心に残る余韻的なものもありません でもすごくいいんですよね これ すごいすごいと言うだけではぜんぜん伝わりませんので ザクッと大まかにネタバレします( '∀' ) ミズーリ州の田舎町でのことです 住民である中年女性が一本道の道端に並ぶ三つの立て看板に あるメッセージを掲示するよう業者に依頼します 一枚目には このあたりで娘がレイプされて殺されたこと 二枚目には いまだに犯人が捕まらないこと 三枚目には 警察署長を名指しで非難した文句 この三枚の立て看板(スリービルボード)が作品の主軸となっていまして 主要な三人の登場人物もこれに絡んでいるんです ひとりは中年女性 二人目は警察署長 三人目は署長を敬愛する暴力警官 職務怠慢と思われた署長は町の人々から慕われる善人で 実は事件に関しても地道に捜査を続けていたのでした 中年女性も徐々にその人柄に気付いてくるのですが 末期のがんを悲観して愛する妻子を残して自死してしまいます 暴力警官は中年女性の誹謗が署長を死に追いやったと思い込み ふたりは憎悪丸出しに激しく対立します 暴力警官は看板会社の若者に怒りの矛先を向け ボコボコにして謹慎を食らいます いっぽう中年女性は看板に火をつけられた仕返しに 夜中に警察署を放火します が 誰もいないと思われた署内から 暴力警官が火だるまになって飛び出します 想定外の出来事に中年女性は動揺します 彼が火の中から大切に守ったものは事件に関する資料でした 死んだ署長の真の姿を女性に伝えたかったのでしょうか 全身火傷を負った警官は奇しくもボコボコにした若者と病室を同じくします 包帯で顔が分からない男に対して若者はやさしい言葉を掛けて励まします 警官の目から涙が溢れ すべてを明かして謝ります 最初は激怒した若者でしたが やがて落ち着くと ジュースを入れたコップにストローを挿し 身動き出来ない警官のテーブルにそっと置きます… 月日が経ち 警官はあるバーで事件の犯行をほのめかす男を偶然見つけます わざと喧嘩を売り 爪の先に残る皮膚片からDNA鑑定を依頼するも 上から知らされた結論は人違いということでした 犯人ではないにしろ警官は男がレイプ常習犯であることを確信し 車のナンバーから住所を割り出し中年女性に電話をかけます ここに来て同じ向きに立ったふたりは 翌日共に車で向かうことになります これが映画のラストシーンになるんですが 最後のふたりの会話がこの作品のすべてを語っています ライフル銃をトランクに載せた警官を見て 女性はちょっと怪訝な表情をします 車を走らせてる最中 女性はわだかまりを吐き出すように言います 女性 「署をやったのは私よ」 警官 「他に誰がいるってんだ」 ここで女性は初めて微笑します 女性 「殺すつもり?」 警官 「あんまり… そっちは?」 女性 「あんまり…」…「道々決めればいい…」 諦めなのか 許しなのか どちらにしても 常に外に向けていた行き場のない怒りは 自分自身に対するものだったことに気付いたのですね 作中では事件の犯人をあきらかにしていません この作品の意図からすればその方がよいでしょうね あと 三枚の看板を裏側からそれとなく映したシーンが幾度もあるんです むしろ裏側のシーンの方が多かった気がします 三人の心の表と裏をあらわしているのと同時に 三枚の看板が象徴するのは 暴力と怒りと差別 この三つの負の感情なんですよね で この三枚 裏から見ればみんな同じなんです 殺風景な骨組みと板の裏面 何の変哲もない 何の価値もない 何のパワーも発信力も きっとそこからは生まれないだろうと… ミズーリ州と言えば 何年か前に黒人少年が白人警官に射殺された事件がありました そんな禍根が根強く残る地域なんでしょうね まあどっちがどうとか小難しいことは置いておいて… 表向きの自分は色んなものに貼り替える事は出来ますが 実は裏側はいつも同じで 何の変哲もないつまらないものなんですよね でも それでいいんです 何の変哲もないものから生じたものにはロクなものはないんです 一度でも裏側の本質に気づけば そのロクでもない表の自分がバカバカしく見えてしまうんでしょうな 暴力も怒りも差別も 裏を返せばどれも無意味なものなんですよって ただの三枚の看板で表現しているのがこの作品のすごいところです 昔の西部劇を思わせるような無骨な演出やロケーションも 伝えようとしているシンプルなメッセージにとてもマッチしています これぞ ザ・シネマですね 久々に名作を観ました なんかもう 日本の映画とは圧倒的なレベルの差を見せつけられた気がしますねぇ まあ日本には世界に誇るアニメで頑張ってもらいましょ(^ω^) テレビをつければ 今日も政府や菅さんに怒っているコメンテーター… まったく責任の無い立場からカメラの前で言いたいこと言ってますけど 裏から見れば笑えるほど無意味なことしてまっせ~(^q^) 何でも物事は表だけでなく裏(本質)も見なくてはねっ ではまた~(*`0`*)/ 管理人のひとり言