2018/10/27 20:51


久しぶりに映画館へ足を運びました

「億男」観ました

宝くじ3億円当たった男が友人に持ち逃げされるってお話

何となくコメディタッチっぽいイメージをしていたんですが

なんのなんの けっこうマジで深いんですよこれが

なんかいい意味で裏切られた感があったんですが

結果的にすごくよかったです そして感動モノです

ネットでの感想レビューでは評価が分かれる所なんですけどね

それにはちょっとした理由があるんです

古典落語に「芝浜」というものがあるんですが

これを知るのと知らないのとではこの映画に対する評価が大きく違います

きっと星五つと星三つぐらいの差がでるでしょうね

管理人は事前に勉強しときましたしバッチシです (・ω<)


あまりによかったのでストーリーばらしたいです というかばらしてしまいま~す\(^o^)/

なので知りたくない人はスルーしてください  m(_ _"m)ペコリ



ふたりは大学時代に落研で親友同士で

宝くじ男の名前は一男 持ち逃げ男の名前は九十九(つくも)

一男は兄の借金を肩代わりしてしまいそれが元で妻娘とは別居

不器用ですが真面目な性格で借金を返すことしか頭になく 寝る間も惜しんで昼夜働き詰め

ひょんなことから街の福引で当たった宝くじが3億円当選して一躍億男に

借金を返して家や車も買って…と妻に話しますが 彼女の気持ちはそこではなかったのです

借金地獄の日々で一男の心はすっかり金に支配され 大金を手にしても何ら変わらないことを嘆くのです


九十九は普段は吃音症なんですが なぜか落語での口調は流ちょうで聞く人を魅了します

その彼の十八番が「芝浜」なんです

大学を中退して起業に成功し億男となるのですが

純粋な性格な故 儲け主義の仲間たちと仲たがいし会社を売却してしまいます

以降彼は金というものに対して客観的な冷めた視点を向けるようになります

いいんですよね~ この持ち逃げ男九十九の演技(高橋一生)…


いきなり大金を手にした一男はその扱いに狼狽し

個人資産100億と言われるかつての親友九十九に十数年ぶりに連絡を取ります

金を知るにはまず金を使ってみること…と ド派手な祝賀パーティーを開きます

翌朝 酔いつぶれた一男が目を覚ますと周りには誰もいなく

九十九は3億と共に消えてしまいます・・・


相談を持ち掛けられた九十九が一男に言うんです

一万円札の重さはちょうど1グラム 一円玉と同じ重さだなんて皮肉なもんだな・・・と

なるほど

片や紙切れ 片やアルミ片 どちらも物質的には同等に何の価値もありません

よくよく考えたらここのひと言がすべての答えのような気がします



一男は九十九の足跡をたどり 起業した当時の仲間たちを訪ねます

彼らは皆会社を売却した金で新たに事業を立てて億男億女となっているのですが

それぞれの形で金の亡者と化し 周りの人たちを欲望の渦に巻き込んでいる現実を目の当たりにします

九十九の行方を探るうち 次第に一男は金というものの価値について疑問を持つようになります


大学時代にふたりでモロッコへ旅行した回想シーン

九十九が大学を辞めて夢だった起業をすると一男に初めて打ち明けます

金銭感性に長けた彼はバイトで貯めた金で株を買い

起業資金が1億円になったことを聞き一男は驚きます

九十九は金そのものに対して欲望を持っている訳ではなく

人によって相対的に変化する金の価値観というものを熱く語ります

「金の正体を知りたい…」

それが彼にとっての根底的な起業の動機だったのです

モロッコの砂漠で向かい合って座るふたり

九十九が「芝浜」を演じます 一男は楽しそうに笑います

友情 美しかったです…



最終的に九十九は3億と共に一男の前に現れます

九十九は一男に言います 今のこの3億はどのように見える? 

一男はひと言 ぜんぜん違うものに見えるよ・・・

一男が本当に手にしたかったものは金ではなく 再び妻娘と共に暮らすことだけだったのです

それを聞いた九十九は安心したように言います

金の正体を知ろうと今まで必死にもがいていた 99まではわかったけどあとのひとつがどうしてもわからなかった

そのひとつを埋めてくれたのが一男だった…ありがとう…


まあ 合わせて百点になったって 落ち(^ω^)


結局的にはこの作品のテーマは「お金ってなんだ?」ってことになるんですけど

これを美談に持って行けたのは落語の「芝浜」あってのことなんですよね…

観てないと言うてる意味わからんでしょうが("^ω^)・・・

とにかくよかったです 泣けますよ

観てみようと思う方 是非…というか必ず「芝浜」の内容を知った上で観てくださいね!

くどいようですが・・・



管理人のひとり言